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各種受賞者インタビュー

ロレアル─ユネスコ女性科学者 日本奨励賞受賞 富永依里子さん

富永依里子
大学院博士後期課程 3年次生 固体電子工学研究室


研究者の使命は、まだ誰も知らないことを科学的に発見・実証すること。
たとえ不可能だといわれても、前に突き進む勇気を大切にしていきたいですね。


 学部4年次生のときから取り組んできた研究の成果が認められ、昨年「ロレアル─ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」に輝いた。これは物質科学と生命科学の各分野から、優秀な若手女性研究者を2人ずつ表彰するもので、本学からは初の受賞者となった。認められた業績は物質科学分野で、「周囲温度の変化に対して発光波長が変動しない光通信用半導体レーザの開発」。波長分割多重(WDM)通信方式という大容量の光通信方式を、一般家庭に普及させるためのキーとなる半導体材料の新たな可能性を世界に先駆けて示したことが高く評価された。
 来年の博士号取得後はアメリカに渡るつもりだが、自ら“道場破り”をしてその第一歩を踏み出した。アメリカの有名大学の教授ともなると、世界中の研究者から売り込みメールが日々、山のように寄せられる。それならと自作論文を抱え、“道場破り”よろしく海を越えて直談判してきたのだ。教授は驚きながらも実績と熱意を認め、“弟子入り”を快諾してくれた。こういった大胆さは、学部生のころから本学で自然と培われたものという。疑問が湧くと、勇気を出して色々な先生の教授室のドアをノックした。すると誰もイヤな顔ひとつせず、ときには2、3時間ぶっつづけで個人講義をしてくれた。そういった意味でも大学には感謝をしているし、ここで研究ができてほんとうによかったと思っている。
 そもそも研究者の道をめざしたのは、中学生の頃、宇宙飛行士になりたかったのがきっかけ。 「『日本奨励賞』の授賞式で、特別賞を受賞された宇宙飛行士の山崎直子さんにそのことをお話しすると、『大丈夫、宇宙に定年はないから』と励まされ、ますますやる気が湧いてきました(笑)」。これからも勇気を忘れることなく、研究者としてより深く、より広い世界に突き進んでいく。

(2012年度版大学案内より)