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教員からのメッセージ(過去の記事)

>2011年度




人間社会の未来を拓く技術、
それがエレクトロニクス。


 今や地球上で、エレクトロニクスを使わない産業があるでしょうか?私たちの日常生活は、電気・電子工学技術を駆使したさまざまな機器やシステムに支えられています。コンピュータをはじめ携帯電話、通信システム、ディスプレイ、情報記憶メディア、ロボット などは驚異的に進化し、私たちのライフスタイルを大きく変え、さらなる速度で進展を続けています。本課程で学ぶ内容は、これらの進化を直接担うものです。機器やシステムの要となるLSI・半導体デバイス、レーザー、太陽電池、センサーといった「もの」をつくりだす面白さを素直に味わうことができます。
 もちろん、さらなる先端研究に取り組むことができます。最近の事例としては、高分子材料を用いた発光デバイスの実現や、生体バイオ物質を高感度に検知するセンサーの開発など、異分野との融合も広がりを見せています。また、電力生成のための核融合プラズマ技術や、電力高効率利用制御デバイスの開発といった地球エネルギー問題に貢献する研究も活発です。

ものづくりで
みんなを幸せにしよう!


 どのような分野であれ、科学の研究には「やってみないとわからない」という一面があり、始める前から成功が約束されている研究などありません。それでも研究者や技術者が研究を続ける原動力、そのひとつに「なぜこんな現象が起きるのだろう?」という 知的好奇心があるでしょう。そして、もうひとつは「人に役立つものを作りたい!」という情熱です。特に本課程のような工学分野では、「ものづくりでみんなを幸せにする」ということが、大きな目的のひとつとなっています。人間、社会の未来のために直接貢献できる電気・電子技術を学ぶことはとても興味深く、実際に面白いです。
 本課程を目指している皆さん、ものづくりに対する飽くなき夢をもって、より良い未来のために、私たちと一緒にチャレンジしていきましょう。

野田実 (電子機器工学)

2010年度


現代社会を支えるエレクトロニクス技術

 いまや世の中で電気を使わない産業はほとんど無いと言っていいほど、普段の私たちの生活は、電気・電子を使った多くの技術によって支えられています。本課程では、このように現代社会にとって無くてはならない電気・電子・通信・制御工学などエレクトロニクス分野を中心とする教育・研究を扱っています。


コンピュータの性能向上のために

 具体的な例としては、例えば私の研究室ではコンピュータのボード内を光でつなぐための技術開発に取り組んでいます。コンピュータの性能を向上させるためには、その心臓部であるプロセッサチップやメモリチップなどの電子回路を高密度に集積して高速で動作させる必要があります。これまではそれらに必要な技術を開発して順調に性能向上を達成してきましたが、その限界が近づいてきています。微細化技術はまだ開発の余地がありますが、発熱の問題が大きくなってきています。一方、電子回路チップの性能の伸びに比べて、チップとチップとをつなぐ配線の性能はそれほど伸びておらず、それがコンピュータの性能を制限しています。私の研究室では、これらの問題を解決するため、チップ間を光配線を使って高速でつなぐことはできないかと考えています。

 もっとも、光は長距離をつなぐのには適しているのですが、短い距離をつなごうとするといろいろな問題が出てきます。例えば、コンピュータの内部は電気信号で動いていますから、光を使うには電気と光とを変換する素子が必要になってきます。その分、ボード内のようにスペースが限られた場所では技術的に難しくなってくるわけです。こうした問題をどう解決していくかが研究課題となっています。

現在、コンピュータ間、キャビネット間、ボード間などを光でつなぐ研究開発はいろいろ進められており、一部実用化もされています。しかしながら、ボード内を光でつなぐ構成については技術課題が多く、このような中長期的な研究開発は、企業でスタートさせるのはなかなか難しいものがあります。そこで、大学や公共の研究機関が中心となって研究を推進し、その可能性を示す必要性があるわけです。大変なテーマですが、それだけに、学生諸君もやりがいをもって取り組んでくれています。




材料開発からシステム構築まで

 この他、各研究室で行われている研究には、エレクトロニクス材料の開発や加工に関するもの、それら材料の特性評価や評価技術に関するもの、デバイスやハードウェアのシミュレーション・設計技術に関するもの、新規デバイスの開発、デバイスやハードウェアを計測・評価する技術の開発、新しいシステムの構築に関するもの、エネルギー供給に関する基盤技術の研究、など幅広いジャンルがあります。



即戦力となる人材を育成

 本課程では、こうしたさまざまな専門分野で、即戦力として活躍できる人材の育成を目指しています。入学後は、まず基礎教育科目において幅広い知識を習得し、その後、各研究室において、専門の研究に携わってもらうことになります。あらゆる仕事の専門化・細分化が進む現在、柔軟な発想ができるためには、幅広い知識を身に付けておくことが大変重要です。また、研究室では、与えられたテーマについて深く考えたり、先生や友だちといろんな議論をする中で思考力や方法論を身に付けてください。こうした知識や経験が、実際の仕事の場面で必ず役に立ってくれると思います。




人と社会に役立つものづくりを


 どんな分野であれ、科学の研究には、やってみないと分からないという一面があって、始める前から成功することが分かっている研究などありません。それでも研究者や技術者が研究を続けていく、その原動力になっているのは何かと言うと、一つには「なぜこんな現象が起きるのだろう?」という科学現象への知的好奇心があるでしょう。そして、もう一つは「人に役立つものを作りたい」という情熱です。特に、本課程のような工学分野では「ものづくりでみんなを幸せにする」ということが、大きな目的の一つになっています。

 もちろん、これまでの科学技術が進んできた方向性については、修正すべき点が多いのも事実です。しかし、それを正しい方向に導くためにも、これから科学が解決しなければならない問題は数え切れないほどあります。本課程を目指している皆さんも、ぜひ、ものづくりに対する夢を持って、より良い未来のために、一緒にチャレンジして行きましょう。




裏 升吾 教授(光波電子工学、光デバイス工学、集積光学)
大学広報2006抜粋

このコンテンツは過去に掲載されていたものです.